立山、剱岳周辺(富山) 大熊山(1628.7m) 2018年10月13日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 6:14 車止め−−6:23 廃林道入口−−6:26 廃林道終点(尾根取付)−−7:33 1264m峰直下−−8:37 大熊山(休憩) 9:36−−10:20 1264m峰直下−−10:56 廃林道−−10:59 林道−−11:06 車止め

場所富山県中新川郡上市町
年月日2018年10月13日 日帰り
天候
山行種類一般登山
交通手段マイカー
駐車場南側の林道の土砂置き場に駐車
登山道の有無一応ありだが薄い箇所も
籔の有無1264m峰以上では笹が被る箇所が多く、雨や朝露に濡れた時は雨具必携
危険個所の有無無し
山頂の展望あり
GPSトラックログ
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コメント2000年代に開かれた小曽谷右岸尾根の登山道を利用して往復。予想はしていたが道の整備状況は良好とは言えず、朝露に濡れた時間に登ったら山頂までにずぶ濡れになってしまい山頂で1時間ほど衣類の虫干しを実施する羽目になった。山頂は来週位が紅葉のピークだろう




車止め前に駐車 チェーンの車止め
治山工事で車両通行があるようだ 施錠ありだが
開いてしまった!! 気温は+10℃弱
林道ヘアピンカーブで廃林道に入る 廃林道入口の案内
短い廃林道を進む 廃林道終点
廃林道終点で尾根に乗る 尾根上には杉の古木が多い
石に乗った杉も 1264m峰より上部は笹が被る
もうちょっとで紅葉ピーク 泥濘があちこちにある
小さな沢筋が多い。迷い込み注意 天然ナメコ。容器が無いので収穫しなかった
沢筋を登る 山頂手前で草付きに出る
大熊山山頂。びしょ濡れで到着 大熊山から見た大日岳
大熊山から見た富山平野 大熊山から見た毛勝三山
大熊山から見た白馬岳
大熊山から見た360度パノラマ写真(クリックで拡大)。センサーの汚れでうまく合成できていない
大熊山から見た剱岳北方稜線
大熊山から見た剱岳北方稜線
濡れた笹で防水手袋が大活躍 早月川
尾根を下る 廃林道に出る
林道に出る 林道入口を見下ろす
車止め到着

 今年は暑さが続いて10月に入ってしまったが、やっと気温が下がってきて標高がさほど高くない山でも大汗をかかずに登れる季節になった。これで既登山のアルプスとはお別れで私にとって未踏の山々に足を向けることが可能だ。第一弾として富山の大熊山に向かうことにした。この山はコット谷の北側の山で、その昔に早乙女岳に登ったときに立ち寄ろうかと思ったのだが、当時はあまりガツガツしていなかったので素通りしてしまったのだった。道が無いので残雪期に登る山だったのだが、2000年代に入って夏道が開かれたとのことで、ネット検索でいくつか登山記録はヒットするものの数は多くはなく、記録を読むと部分的に藪があるとのことで道のレベルはあまりいいとは言えないらしい。でも全くの藪漕ぎよりはずっとマシだろう。登山口となる林道入口から山頂までの標高差は約1000mで、アルプスと比較すれば1時間程度短い時間で登れるだろう。

 ここ4ヶ月は近場の北アルプスばかりで自宅から車で片道max70kmだったのが、今回は片道190km近いので遠くに感じるが、東京在住だった頃の鳳凰三山や八ヶ岳南部と同じ程度なのでまだ近い部類と言えよう。田舎道区間が長いので一般道でも高速道路でも所要時間に大差は無いので一般道で行く。長野市内から白馬へ入って姫川沿いを糸魚川へ下り、日本海沿岸を朝日まで走って新川農道で早月川へ至り、川沿いを登っていって大きな鉄橋が林道入口。ここに来るのは本当に久しぶりで、最後に来たのはお盆に東海等で記録的な暑さ(40℃オーバー)を記録した日にやった早月尾根日帰り往復かな。あの時は想像以上の暑さに下山で汗だく、バテバテになってしまった。やるなら秋が良かったなぁ。

 番場島へ至る県道はカモシカが多いが今回もカモシカに遭遇、あやうく車でぶつかるところだった。

 コット谷へ至る林道入口付近はダートで、道幅いっぱいの巨大水溜りができていて水深は不明だし大きな石があるのかも不明で突っ込むのが怖かった。かなり深かったが無事に通過、その先はコンクリートの簡易舗装で上がっていくと施錠されたチェーンの車止めが登場。ここで仮眠。沢の音が少しうるさいが今の時期の夜は寒いくらいなので窓を閉められるので助かる。上空は満天の星空だがこんな日は夜露が降りやすく藪が濡れてるだろうなぁ・・・などと考える。

 翌朝、明るくなってから起床。軽く飯を食って出発。今日も好天だ。気温は+10℃ほどで体を動かすには快適だ。藪が予想されるので半ズボンというわけにもいかないので最初からジャージを履いて上半身は長袖。こちらはそのうちに半袖に変わるだろうけど。

 車止めのチェーンは3か所が施錠されていたが、いずれか1箇所の鍵を開けばチェーンが外れるようになっていた。1つは通常の物理キーで開錠するタイプだが2つはダイヤル式。試しにと1つを回してみるとあっという間に開いてしまった! 車で入ってもいいが、どうせ歩いても10分くらいなので鍵を戻して林道を歩いた。工事で頻繁に車が通るようで路面状態は良好、泥濘もない。

 最初の左ヘのアピンカーブで登山道が右に分かれ、直進の草ぼうぼうの廃林道が登山道である。足元には目立たないが案内標識あり。最初から濡れた藪の歓迎かと思いきや、意外と乾いていた。このまま山頂まで藪が乾いているといいのだが。もちろん雨具を持ってきているが、ゴアを着て登りでは露ではなく汗をかいて濡れてしまう。

 植林に覆われた短い廃林道が終わると左の斜面に薄い踏跡が続き、これが登山道の続きだ。廃林道入口と同じ案内標識が地面に置かれていた。ここからは1264m峰から北西に落ちる尾根に取り付く。

 廃林道の様子からして尾根上の登山道もかなり藪っぽいと予想したが、そんなことはなくて意外と歩きやすい。でも体に触れる藪は皆無というわけにはいかず、朝露で少し湿った状態なので防水手袋をはめた手で分けながら進む。傾斜がきつい箇所にはフィックスロープが地面を走っているが、それらの助けを借りなくても普通に登れる地形である。傾斜は全体的にかなりきつく、一気に高度を上げていく。この夏の北アルプスはなだらかなコースばかり歩いていたので、久々に足に負荷のかかるコースだ。地面はふかふかの柔らかい土に覆われて下りでは衝撃を吸収してくれそうなので、膝への負担は思ったより軽いかもしれない。さすがに体温が上昇し、途中で長袖を脱いで半袖で歩く。ただし薄いながらも笹があり、私は笹のアレルギーがあるのでできるだけ皮膚に触れたくないため腕カバーを装着した。

 北西尾根は周囲は背の高い樹林で覆われて全体的に下藪は薄い。道を開いたと聞いたが、見たた感じでは元々あった獣道を利用して邪魔な潅木だけ小規模に刈ったような感じだった。元々の藪が薄いので手入れしない状態でも無雪期でも問題なく歩けそうだった。あちこちに太い杉がいくつもあり、昔から杉が自生しているようだ。豪雪の影響か、太さの割りに高さがなくずんぐりした印象だ。

 急な尾根をひたすら登っていくと1264m峰で右に尾根が曲がる。この辺はなだらかな地形でここがピークだとはっきりと分かるわけではないが、これまであまりうるさくなかった笹が勢いを増すので地形的な区切りだと分かる。残念ながら笹の葉は朝露を含んで濡れているが、まだゴアを着るほどではないと判断、防護策は腕カバーと防水手袋だけで突入する。踏跡はそれなりに明瞭だが、笹が両側から盛大にはみ出しているが、このレベルの藪をそれなりに刈るのは個人や小さな団体では不可能だろう。

 この先は傾斜は緩むが、逆にそれがルートを分かりにくくする箇所もあった。狭い尾根と違って広い尾根の上に小さな谷地形があちこちに登場、谷の中は藪が薄くて歩きやすく引き込まれやすいが、登山道が谷を通っているとは限らない。また、谷を通っていてもどこかで谷と別れる場所があるが、笹が茂ってその判別が難しい箇所もある。そんな場所の2箇所くらいにはにはロープが張ってあるが、張っていない箇所の方が多い。そのうち1箇所で迷い込んでしまったが、明らかに踏跡が薄くなるのですぐにルートミスに気付き、ヌタ場のような小さな湿った泥沼まで戻って左右を見渡して踏跡を発見した。基本的に目印が多数あるので、目印が見えなくなったら道を外したと判断すればいい。でもこのルートは明らかに初心者向きではない。登山道と呼ぶにはちと薄すぎで、踏跡よりも薄いと言っていいだろう。獣道レベルの道で、実際に湿った地面にはカモシカの足跡があった。植生の濃さからしてこのレベルなら道が無くても無雪期登山は可能な笹の濃さだ。密集した強固な根曲がり竹は見られず、意外と隙間があって藪の中でも先が見通せるのであった。周囲のブナはもうちょっとで紅葉のピークを迎えそうな色付きであった。

 そんな笹薮の中で標高1550m付近の登山道に横たわる木にたくさんの茸が。大きさは市販品より大きいが、色といい表面のぬめり具合といい、天然ナメコに間違いない。しかし今は昼飯も持ってきていないのでレジ袋さえなく、持って帰れる入れ物がない。ナメコはぬめりがあるので袋等が無いとお持ち帰りは厳しく、素直に諦めることに。考えてみれば茸は日常的にシイタケは食しているがナメコはいったい何年食っていないことやら。

 山頂が近づくと笹の密度が上昇、しかも葉の濡れ方が酷くなって全身びしょ濡れになってしまった。今さらゴアを着ても遅いのでそのまま冷たい笹を分ける。幸い、天気は快晴で頭上はたっぷりの日差しなので、日が高くなれば笹の露は蒸発するだろうし、山頂が開けた場所なら日向ぼっこで衣類を乾かすこともできるだろう。

 とうとう傾斜が無くなり横移動になると、ふいに笹と低い樹林が切れて黄色く色づいた草付きに。どうやら湿原らしいが、その中に一筋の踏跡。湿っているのではっきりとカモシカの蹄の跡が残っている。人間の登山道というよりカモシカの獣道か。僅か先に低潅木の茂った小ピークが見えるが、あれが大熊山山頂らしい。

 最後に再び濡れた笹を分けると藪が払われて地面が広がった大熊山山頂に到着。2時間半程度かと思ったが3時間が経過、さすがに北アルプスの一級の登山道とは所要時間が異なる。森林限界ギリギリの植生で展望は良好。残念ながら剱岳や大日岳は逆光気味で写真写りが悪い。毛勝三山は黄色の草紅葉で秋色で、この好天だと登っている人が少なからずいるだろう。ブナクラ峠の向こうには白馬岳と白馬鑓ヶ岳。赤谷山の右には赤ハゲ、白ハゲと続いて大窓の顕著な鞍部があり、大窓ノ頭と池平山が見えてその右の小窓ノ頭がでかい。北方稜線上のピークもそのうちに片付けなきゃいかんが、各ピークのてっぺんに立つにはクライミングの技術と装備が必要だなぁ。北西側には富山平野と富山湾。能登半島も見えている。

 山頂は開けて日差しがたっぷりなので、ここで濡れたものを干すことに。着ているものはそのまま着干しだが、化繊なのでそもそも冷たさを感じにくい素材だし、日差しを受けて半袖でも快適な体感温度だった。風がないのは大いに助かった。いや、風が吹いていれば夜間に笹に露が降りることは無かったかも。

 体力的には疲労はほとんど感じなかったが、物干し&濡れた笹が乾燥するのを待つ意味で1時間ほど山頂で日向ぼっこした。メジャーとは言いがたい山だけあって他に誰も登ってこなかったので静かな山頂を独占できた。

 休憩しながらNHKのAM第一放送を聴いていたが、ここ最近は「山カフェ」という山に関する番組が午前9時5分〜9時55分に放送されていて、今回は日光の特集だった。紅葉は遅れ気味でまだ竜頭の滝周辺のみとのこと。山の紹介としては日光白根、社山、太郎山、前日光の夕日岳などだったろうか。トレッキングコースとして中禅寺湖畔や茶ノ木平、滝では裏見の滝が紹介されていた。長野に来てから日光は遠くなってしまったなぁ。たまには奥日光の山々からアルプスの山々を眺めてみたいものだ。

 1時間ほどの虫干しで濡れ物はかなり乾かすことができた。しかし帰りも濡れた笹のままだとまたびしょ濡れになってしまう。日が高くなったので笹も乾いてくれているといいのだが。ずっと独り占めだった山頂を後にして下山開始。

 山頂直下の笹はかなり乾いていて腕カバーがちょっと湿った程度で、これなら以降の笹で濡れる心配はしなくてよさそうで助かった。濡れなくていいのは助かるが、道が薄いので下りの方が要注意。案の定、ルートを外すことが何度かあったが、明らかに踏跡が薄まり笹が濃くなるので外したことはすぐに分かり、周囲を見渡して正しい筋に乗り移る。

 1264m峰を通過すれば笹がぐっと少なくなり、尾根も狭く明瞭になりルートを間違える心配はほぼ無くなる。かなりの傾斜だが往路での想像通りに柔らかい土のクッションで膝に優しい下りだった。膝にいいのは地面が柔らかいだけではなく、アルプスの超一級の登山道と比較してグレードが落ちる道なのでスピードが出ない点も見逃せないだろう。今回は膝保護用のストックは持たなかったが、稜線上の笹を思えば正解だった。道の悪さの要因は地面に露出した湿った木の根も一つで、土と同一の保護色で見分けが付きにくく、足を乗せて何度かコケてしまった。ただし、この尾根上は泥沼はないので衣類が大いに汚れることもなかった。

 廃林道に出て短い水平移動で現役の林道に飛び出してほぼ終了。藪が無い広い空間は気持ちがいい。今日は工事車両の通行もないので林道の真ん中をのんびりと下っていく。谷の対岸には凄い水量の滝がかかっているが、自然地形で尾根上からあれほどの沢が落ちてくるのは考えにくい。地形図を見るとその付近は水力発電所への送水路があるはずで、送水路が壊れたか、もしくは発電所のメンテナンス等の理由で途中で放水しているのかもしれない。

 車止めに到着。当然ながら車は私の1台きり。今日は久しぶりに山の中で誰とも会わなかった。登山道が開設されてもネット検索結果を見る限りではあまり多くの人が登っているような印象を受けなかったが、まさにその通りだった。このままいけば数年後には1264m峰より上部の登山道(現状では踏跡程度)は藪に溶け込んでしまうだろう。現状でも残雪期に歩いた方が良さそうな状況で、その方が山頂以外の区間でも展望が楽しめるし、好天時に登ればルート判断に悩まされることもないだろう。コット谷経由ならスキーでも楽しめそうだ。

 

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